ソーラーパネルの処分・廃棄方法と費用|屋根型~ポータブル太陽光パネルまで
ソーラーパネル(太陽光パネル)を処分したいと考える方や事業者に向けて、処分方法や安くするポイントなどを解説します。
主に屋根の上にあるソーラーパネルについて記載をしますが、ポータブルソーラーパネルについても廃棄方法をまとめました。
卒FITをされる方、家の解体をする方、より効率的な電力回収をしたい方、災害にあわれた方など、太陽光パネル処分理由によっておすすめの方法もわかるようにしております。
ぜひご一読ください。
目次
知っておきたいソーラーパネル(太陽光パネル)廃棄時のポイント
さまざまな理由でソーラーパネルを処分する必要があるとき、状況によって処分方法が変わるのがソーラーパネルの難しさです。
まずは知っておくべき基本的なことを解説します。
一般家庭のソーラーパネル(太陽光パネル)は産業廃棄物と一般廃棄物両方を兼ねる
一般家庭の屋根の上にあるソーラーパネルは、産業廃棄物です。
一方、落ちてきたソーラーパネルは一般廃棄物として処分できます。
産業廃棄物の場合は、ひとつの業者で完結することはほぼありませんが、一般廃棄物ならば不用品回収業者や自治体によっては粗大ゴミなどで処分が可能です。
ただし、ほとんどの自治体で太陽光パネルの処分は対応していません。架台、パワーコンディショナー、売電メーター、ケーブルなども同様です。
なぜなら、太陽光パネルはどのタイプのものでも、ガラス・金属・プラスチックが使われており、混合物であるうえ、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が含まれるためです。10年前のソーラーパネルだと、近年のものより有害物質が使われている可能性が高いでしょう。
さらに、割れていてもソーラーパネルは集電します。落ちてきたソーラーパネルは素手では触らずに、早急に回収できる不用品回収業者へ依頼をしましょう。
産業廃棄物の場合の太陽光パネル処分の順序
産業廃棄物としてソーラーパネルを廃棄する際は、一般家庭からの太陽光パネルも、企業の太陽光パネルも以下のように決まった手順で処理されます。
1.太陽光パネルの持ち主がハウスメーカーや施工業者に相談(省くと安く済む)
2.買取業者や専門業者、解体業者や瓦屋などの撤去業者が、産業廃棄物収集運搬業許可証を持っている不用品回収業者などに依頼する
3.産業廃棄物収集運搬業許可証を持っている不用品回収業者が中間処理業者まで運ぶ(落ちてきたソーラーパネルの場合はここから始まる)
4.中間処理業者が選別・リサイクル・破砕処理などを行う
5.埋め立て処分するものは埋め立て処理上に、リサイクル可能なものは金属・ガラス再資源化業者に運ぶ
収集運搬費用については、処分はパネルの枚数により、運搬費用は処分場までの距離により変わります。
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ソーラーパネル(太陽光パネル)の処分を安くするポイント
処分方法を解説する前に、安くするポイントを解説します。
なぜなら、産業廃棄物としてソーラーパネルを廃棄する際は特に、安くできるポイントが多いためです。
一般家庭の方はもちろん、事業者の方にも知っておいて欲しい内容です。
不用品回収業者は自分で選ぼう
「産業廃棄物の場合の太陽光パネル処分の順序」で見たように、太陽光パネル撤去を請け負う業者が、産業廃棄物収集運搬業許可証を持っている不用品回収業者などに収集運搬を依頼します。
このとき、業者にすべてお任せしてしまうと仲介手数料(中間マージン)が発生する可能性があります。さらには、不用品回収業者のクーポン券なども使えません!不用品回収業者のクーポン券は、一般ゴミはもちろん、産業廃棄物の場合も使える業者があります。
そのため、念のため撤去を請け負う業者(ハウスメーカーや解体業者・屋根屋など)にどの不用品回収業者に依頼するのかを尋ねてみましょう。
仲介手数料(中間マージン)が発生するようなら、自分で業者選びをすることをおすすめします。その際、一括見積もりサイトは使わないことです。こうしたサイトは便利ですが、一括見積もりサイトでも仲介手数料(中間マージン)が発生します。
必ず公式サイトから申し込んでください。各種クーポン券は公式サイト限定の場合が多いのも理由のひとつです。
買取をうまく利用しよう
ソーラーパネル自体の買取は難しくても、ケーブルには銅が使われているため、買取られる可能性が高いでしょう。支柱・架台はスチール、レールはアルミです。これらは売ることができます。
撤去を請け負う業者がこれらを不用品回収業者から購入し、他で販売することで利益を得ていることもあります。
しかし、多くの場合この利益は価格に還元されません。
不用品回収業者を自分で選べば、これらの品物のみ買取専門店に査定をしてもらうことが出来ます。そこまでしなくても、価格交渉の材料にできるので、ぜひ撤去を請け負う業者に伝えてみてください。
複数の業者に見積もりを取ろう
撤去を請け負う業者・不用品回収業者・瓦屋など、ソーラーパネルの撤去にはさまざまな業者が関わります。
だからこそ、仲介手数料(中間マージン)がそれぞれに発生すると、より高くなります。同時に、相場もわかりにくくなります。
そこで、複数の業者に見積もりを依頼して相場を知り、安く仕上げましょう。
このとき、出張見積もりと見積もり後のキャンセルが無料の業者を選んでください。スタッフの質も見極めることができるので、一石二鳥です。
そして、気に入った業者に提示された額が高かった場合は、一番低い金額の見積もりを見せて、価格交渉をしてください。
ソーラーパネル(太陽光パネル)の処分費用
次に、ご紹介した処分方法ごとに金額を確かめてみましょう。(※取り付け工法やパネルの種類により金額が前後します。)
自治体の粗大ゴミ | ほとんどの自治体で対応していません。処理は難しいと言えます |
買取業者 | 店舗によっては元払いで送る必要がある |
住宅メーカーや施工業者 | 30〜45万円 |
解体業者 | 太陽光パネルの取り外し:20万円~30万円 |
専門業者 | 20万円以上、30万円前後 |
屋根屋・瓦屋 | 太陽光パネルの取り外しのみ:約20万円~40万円 |
不用品回収業者 | 単結晶ソーラーパネルの重さ18㎏以下の場合、1枚あたり1,200円程度。運搬は処分場までの距離による |
ちなみに、各種業者の足場代の費用相場は1日当たり700~1,000円/1㎡です。
ソーラーパネル(太陽光パネル)の処分方法を処分理由とともに解説
ソーラーパネルは、不用になった理由ごとに処分方法を変えると、効率的な処分ができます。
不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者とは、粗大ごみや各種不用品を一手に回収し、リサイクル・リユース・処分に分別する業者のことです。
落ちてしまったソーラーパネルの処分ができる不用品回収業者の中には、産業廃棄物収集運搬業許可証を持っている業者が多く存在します。
不用品回収業者ならば、即日回収や深夜早朝、土日祝日の対応も可能です。処分したいときに電話一本ですぐに処分できるのがとても便利です。
さらに、スタッフが必ず分別・運び出しを行うため、重たくて危険なソーラーパネルもプロが安全に運び出します。
解体業者や瓦屋などに取り外しをお願いした際も、不用品回収業者に収集運搬を依頼することで結果として安く済むことがあります。
このとき、不用品回収業者を自分で選べば、仲介手数料(中間マージン)が発生しません。ただし、瓦屋などに聞いてから対応しましょう。
また、直接不用品回収業者に依頼をして、取り外しに関してのみ不用品回収業者に相談することも可能です。もちろん、取り外しも不用品回収業者も自身で選ぶこともできます。
他にも不用品があれば、自治体が回収できないものでも何でも回収可能です。大きくて部屋から運び出せないものから、衣類などの細かいものまで、何でも一度に処分ができます。
【関連記事】産業廃棄物対応の不用品回収業者の選び方や、おすすめ業者を知りたい方はこちら!
自治体の粗大ゴミ
落ちてきたソーラーパネルや、備品であるモニターやメーター、パワーコンディショナー、ケーブルは一般廃棄物として処分できるため、粗大ゴミや燃えないゴミに出せる自治体もあります。
ただし、すべての自治体で対応しているわけではないため、確認が必要です。
また、ソーラーパネル自体は多くの自治体で扱っていません。例えば、東京都大田区や八王子市、神奈川県茅ヶ崎市では回収できません。
横浜市では、「太陽電池パネル」は粗大ゴミとして回収できますが、「充電池は外して販売店か回収協力店へ。 50cm未満のものは燃やすごみへ(充電池付きのものは取り外して充電池は回収協力店へ。充電池を取り外せないものは、他の燃やすごみとは別の袋で出す)。」という条件があります。
また、横浜市は持ち込みでも事業ゴミの回収はできないため、一般廃棄物のみ対応しています。
横浜市HP参照:https://cgi.city.yokohama.lg.jp/shigen/bunbetsu/list_t.html
市区町村の廃棄物担当窓口に相談する
台風や地震などで一般家庭のソーラーパネルが破損したときは、基本的には災害廃棄物として市町村が処理します。ただし、処分できない自治体が多くを占めます。なぜなら、破損をしていても発電するため感電の恐れがあるうえ、有害物質がもれることもあり、危険だからです。
そのため、り災した一般家庭用のソーラーパネルも、平時を同じ順序で廃棄されます。
自治体が業者への依頼を促す理由は、所有者が業者に直接依頼をしたほうが、早く解体できるからです。特に、落ちてしまったソーラーパネルの処分なら、不用品回収業者に依頼をすればただちに運んでもらえます。
ただし、一度市区町村の廃棄物担当窓口に相談をすることをおすすめします。被災した家屋の状態によっては公費解体や一部の金額を償還してもらうことができるからです。火災保険が使えることもあるため、補償範囲を確認しましょう。
また、ソーラーパネルが災害により破損した場合は、自身や家族の安全確保をするとともに、近隣住民にも注意喚起を呼びかけてください。そして、速やかに太陽光パネルの受光面をブルーシートなどの遮光用シートで覆い、発電しないようにしてください。囲いを付けて注意書きをするなどし、感電に気を付けて対応しましょう。
買取業者の利用(リユース)
まだ使えるけれど、不必要になったソーラーパネルなら、ソーラーパネル専門の買取業者がおすすめです。取り外しも買取業者が手配してくれるため便利ですし、大口も可能です。
ただし、すべてのソーラーパネルが売れるわけではありません。
例えば、出力250W以上のパネルが売れ筋なので、一般家庭で使われる10kw以下のものは買取されない可能性があります。
また、災害に会ったパネルでも、発電ができて破損がなければ買取ができる業者もありますが、以下のような場合は買取不可の業者が多いです。
- 破損パネル
- 裏面ケーブルの断線
- 発電不良
- 不正品(盗品含む)
特にケーブルには銅が使われているため、買取られる可能性が高いでしょう。支柱・架台はスチール、レールはアルミです。
他業者に依頼をしたとしても、ケーブルや支柱などの買取代金を得ている可能性があるため、価格交渉の材料にできます。
住宅メーカーや施工業者に相談する
新築で買った家にソーラーパネルを設置した場合、取り外しもハウスメーカーに依頼することが可能です。
ただし、ハウスメーカーは家を売ることが専門なので、ハウスメーカーが取り外せる業者に依頼し、さらに不用品回収業者などの収集運搬業者へも依頼する場合がほとんどです。そのため、中間マージン(仲介手数料)がダブルでかかることが多々あります。
ハウスメーカーに依頼をすれば簡単に済むものの、金額は高くなりやすいことを理解しておいてください。施工業者にも同じことが言えます。
【関連記事】関東で安くソーラーパネルを処分したい方はこちらをご確認ください。
解体業者に依頼する
家を解体する際は、解体業者に一緒に依頼しましょう。ソーラーパネルの取り外しと家の解体を同じ業者に任せるほうが、一度に済むため早く対応できます。
この場合は、電気工事士( 一種または二種)を持っているかを確認してください。ソーラーパネルを取り外すのに必須の資格です。
専門業者に依頼する
日本では数が少ないものの、ソーラーパネルには専門業者が存在します。
ただし、専門業者でも収集運搬業者に関してどこに依頼をするか聞いてみましょう。仲介手数料(中間マージン)が発生するようなら、自身で選んだ方が安く済むかもしれません。
また、中間処理業者の中にはソーラーパネルのリサイクルに特化した業者もあります。こうした業者なら、取り外しから処分まで一括で対応できます。
屋根屋・瓦屋に相談する
ソーラーパネルは設置した業者の知識・技術不足により屋根が傷む場合があります。
さらに、ソーラーパネルは1枚平均15kg程度の重さがあるため、屋根がすでに傷んでいた場合などに補強もせず設置をすると、結果として屋根が傷み、雨漏りなどの原因となります。
そのため、原因を問わず屋根が傷んでいる・屋根のリフォームをしたいなどがあれば、屋根屋・瓦屋に相談することをおすすめします。
この場合も、解体業者と同じく電気工事士( 一種または二種)を持っているかを確認してください。
また、今回屋根屋にソーラーパネルの取り外しを依頼した人から話を聞けました。
「太陽光パネルを設置してから瓦や太陽光パネルの破片、ガラスなんかが落ちて来て。まずは施工してくれた工務店に依頼をしたけれど、太陽光パネルの設置し直しと、屋根の修理両方をおすすめされて、冗談じゃないよって。
それで瓦屋さんに頼んだのよ。そしたら瓦の葺き替えがあるから、太陽光パネルの取り外しと廃棄は5万くらいでやってくれたの。あとは瓦の葺き替えに200万くらいかかったわ。」
この処分費用は安い方ですが、不用品回収業者のクーポン券などをうまく使うと、より安く済むでしょう。
【関連記事】落ちてきた瓦の処分にお悩みの方はこちらの記事をご一読ください。
ソーラー設備を廃棄した場合は廃止届を出そう
FIT・固定価格買取制度に登録をしていた場合、ソーラーパネルを廃棄したら廃止届を出す必要があります。
設置時に手続きをしてくれた代行業者に依頼をすればできますので、連絡を忘れないようにしてください。
自分で手続きをした場合は、JPEA代行申請センターの「再生可能エネルギー電子申請」から廃止届マニュアルをご参照ください。(ログインが必要です。)書類自体はログインをしなくてもダウンロードが可能です。
参照:https://www.fit-portal.go.jp/
太陽光発電設置の注意点
ソーラーパネルは近年、設置についてトラブルが増えています。
2024年3月末現在、総務省のホームページや各局ニュースサイトによると、設置した太陽光パネル周辺からの土砂流出や雑草の管理についてトラブルがあり、土砂災害の懸念も挙がっているとのことです。
この情報は、太陽光発電設備を多く設置している24都道府県の市町村を対象にした調査結果です。
回答があったのは861市町村ですが、このうち約4割にあたる355市町村で設置に関するトラブルがありました。143市町村ではトラブルが未解決のままです。
総務省HP参照:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_240326000172382.html
太陽光パネルは、電源の確保にとても便利で安心感を得られることがメリットですが、設置したあとのことをじゅうぶん考える必要があることと、維持も手間がかかる点がデメリットと言えるでしょう。
また、2024年3月27日の夜、鹿児島県伊佐市のメガソーラー発電所で火災が起きました。
各局のニュースサイトなどによると、ここは田んぼに囲まれた中にある発電所です。蓄電設備が入った建物が燃え、煙を出す作業中に爆発が起き、消防隊員4人がけがをしました。
この火災ではソーラーパネルへの延焼はありませんでしたが、消火に水が使えないため自然鎮火を待ち、1日経って全焼し、ようやく鎮火したとのことです。
なぜ水が使えないのかというと、水は電気を通すため、消防隊員の近くに水が流れてきただけで感電を起こす可能性があることと、さらなる電気設備のショートなどが起きかねず、2次災害の危険があったためです。
太陽光発電施設の火災はあまり例がないとはいえ、絶対に起こらないとは言えません。家屋で使用している際は、火の不始末や自然災害などで火事が起きることもあるでしょう。
太陽光パネルを設置している建物で火災が起きた際は、絶対に水をかけないでください。消火を急ぐ際は、炭酸ガスや粉末系の消火薬剤を使用するなどしましょう。特に都市部では二次災害でも大きな被害につながります。
ソーラーパネルを設置している建物で万が一火災が起きた場合は、消防に連絡する際にソーラーパネルを設置している旨を忘れずに伝えましょう。
早急に取り外しをしたい際は、即日対応が可能な不用品回収業者に依頼をしてください。
アウトドアや非常用に便利!ポータブルソーラーパネルの処分について
アウトドアや非常用に販売されているのが、ポータブルソーラーパネルです。
アウトドアの際は持ち歩ける冷蔵庫やスマホの充電、冬場の山ではヒーターダウンジャケットにも便利です。さらに、災害に特化したポータブルソーラーパネルの販売にも力を入れているメーカーもあります。
ある携帯電話会社向け特別災害対策セットはよりコンパクトになって販売され、非常に軽く、お年寄りやお子様でも軽々と持ち歩くことが可能です。
そんなポータブルソーラーパネルは、一部メーカーが回収を行っています。
例えば、Ankerの回収サービスは、「モバイルバッテリー/ポータブル電源回収サービス」と銘打っているものの、Ankerの製品なら、すべて回収対象です。配送費がかかるので、神奈川県川崎市までの送料を検討の上、申し込んでください。