建築廃材の処分方法!解体時の産業廃棄物は回収業者以外は捨てられないの?
建築廃材の処分方法や、廃材別の処分方法・リサイクル後の姿について解説します。
建築工事から排出されたゴミのうち、法令で産業廃棄物に指定されたものを建築廃材と呼びます。
これらは正しい手順に則り、自治体指定の方法で処分しないと不法投棄として措置命令などを下される可能性があります。
この記事で解説する建築廃材の定義や処分する際の流れを参考に、資源を無駄にせず、環境汚染も防止できる処分方法を見ていきましょう。
目次
建築廃材とは?
建築工事から排出された資材を「建築廃材」と呼び、法令によって再資源化を行うことが義務付けられています。
ここでは具体的にどのような物が建築廃材となるのか、そしてどのように処分されるのか解説していきます。
建築工事で排出された資材
建築工事で排出された資材を「建築廃材」と呼びます。
建築工事から排出された物と聞くと木材などをイメージする方も多いかもしれませんが、実際は以下のように多くの種類の資材が排出されています。
- 木材,木くず
- コンクリート
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- ガラスくず
- 石膏ボード
他にも、汚泥や紙くず、陶器くずなども建築廃材に分類され、これらが混ざった物を「建設混合廃棄物」などとも呼びます。
これらの建築廃材は原則として、建築工事を請け負った元請け業者が「排出事業者」として責任を持って処分しなければなりません。
一定の条件を満たした場合は下請け業者に排出を委託できますが、その委託先が不法投棄などを行った場合は元請け業者も同様に処罰を受ける可能性があります。
建築工事を請け負った場合は、建築廃材の最終処分が行われるまで処分状況を確認することが重要です。
建築廃材は「産業廃棄物」として捨てる
建築工事現場から排出される建築廃材は、廃棄物の分類のうち「産業廃棄物」として捨てる必要があります。
事業から排出されたゴミは「事業系ゴミ」と呼ばれ、そのうち20種類が法令によって産業廃棄物として定められています。
つまり、建築廃材とは、建築工事現場から排出された産業廃棄物のことなのです。
これらのゴミは排出した事業者が一定の基準に従って設置した処分施設か、「産業廃棄物処分業許可」を得た業者に委託して処分しなければなりません。
特定の建築廃材は再資源化が義務付けられている
建築廃材が以下の基準を満たす工事現場から排出された場合、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」によって分別・解体・再資源化することが義務付けられています。
- 建築物の解体工事では床面積80㎡以上
- 建築物の新築又は増築の工事では床面積500㎡以上
- 建築物の修繕,模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
- 建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上
このような条件の工事現場から排出された建築廃材は、再資源化を進めていくために委託先である産業廃棄物収集・運搬業などを通して中間施設や再資源化施設に運ばれます。
約90%以上の建築廃材は破砕や選別を通して新たな資源として生まれ変わり、残った物が最終処分場で埋め立て処分されるのです。
建築廃材のリサイクル率が60%だった1990年代と比べると、直近20年〜30年で建築廃材のリサイクル率は先進諸国と比べても遜色ないレベルに達しています。
ただし、2018年の不法投棄件数の8割は建設系廃棄物が占めているなど改善できる余地はまだまだあるため、各業者がルールに従って建築廃材の処分を継続していくことが重要です。
【廃材別】建築廃材の処理方法とリサイクル後の姿
ここでは、廃材別の処理方法とリサイクル後の姿を解説していきます。
木材・木くず類の場合
建築工事によって排出された木くず類の廃材は、再資源化施設で主に木くずチップに生まれ変わります。
木くずチップとは細かく砕かれた木材で、半分以上はバイオマス発電の燃料として利用されます。
他にも堆肥やトイレットペーパーになる製紙となったり、耐熱性や吸音性が高いファイバーボードの原料となり車や船、家具などの素材として使われているのです。
建築廃材のなかでも特に応用性が高く、廃棄された後も貴重な資源として重宝されています。
アスファルト・コンクリートの場合
建築廃材として排出されるアスファルトとコンクリートは、木くず類と同様に高い再資源化率を誇ります。
主に公共土木工事から排出され、破砕・分別が行われた後、コンクリートは道路の路盤材やアスファルトそのものとして再利用される傾向にあります。
また、自治体によっては現場内での流用を推奨していることもあり、廃材として捨てられる前に活用することもあるのです。
他にも再生砕石としてレンガや石畳を敷く際の基礎として生まれ変わるケースもあります。
石膏ボードの場合
耐火性や防音性に優れるうえに、安価に施工しやすい石膏ボードは、建物の天井や壁の内装材として利用されます。
そんな石膏ボードは、そのまま埋立処分を行うと土の中で硫化水素が発生する可能性があり、人体に健康被害を及ぼしかねません。
有害物質による事故や環境汚染を防ぐためにも、石膏ボードは専用設備が揃った「管理型産業廃棄物最終処分場」で厳重な管理のもと埋立処分が行われます。
なお、再資源化する際は、破砕後に金属片などの取り除き作業を行ったうえで、主に「紙くず」と「石膏」の2種に分類されます。
前者は製紙工場で紙に、後者は再生石膏としてそれぞれ再資源化され、別の形で利用されているのです。
ガラス類の場合
建築廃材として排出されるガラス類は、他の廃材と比べて再資源化の難易度が高いのが特徴です。
再利用する場合は板状のまま再資源化施設に運搬する必要がありますが、建築廃材として排出されたガラス類は割れていることが多いため、そのまま処分するケースが多いのです。
ちなみに、再資源化されるケースでは「カレット」という状態になるまで細かく砕いた後、新たな板ガラスや路盤材の材料に生まれ変わっています。
金属類の場合
解体現場などから排出された金属類は「老廃スクラップ」という名で呼ばれることもありますが、再資源化率は高めで廃棄された後も有効活用しやすい廃材の一つです。
収集・運搬された後は種類ごとに分類され、「精錬」という作業によって不純物のみ取り除いた後に鉄筋や鉄骨に生まれ変わります。
なお、再利用が難しい金属内の不純物は、有害物質などが付着・流出の恐れがない「安定型産業廃棄物」として、安定型最終処分場で埋立処分されます。
▼建築現場から排出される他の産業廃棄物についてはこちらの記事でも解説!▼
建築廃材を処分する際の流れ
ここでは、実際に排出された建築廃材を処分するまでの2つの流れを解説します。
- 業者に委託して処分する際の流れ
- 排出事業者が持ち込みで処分する際の流れ
業者に委託して処分する際の流れ
【1:委託基準に沿って業者を選定する】
建築廃材は業者に委託し、代わりに処分してもらうことが可能です。
ただし、以下の委託基準を守らずに業者選定し、建築廃材の処分を委託すると委託基準違反として罰則を受ける可能性があります。
- 産業廃棄物の運搬にあたっては、収集運搬の許可等を有し、委託する産業廃棄物がその許可品目の中に含まれていること
- 産業廃棄物の処分にあたっては、処分の許可等を有し、委託する産業廃棄物がその許可品目の中に含まれていること
- 法律で定められた内容の契約書で契約すること
引用:処理を委託する場合|東京都環境局
業者がこれらの条件を満たしているかは、「産業廃棄物処理業許可証」で確認することが可能です。
【2:法令で定められた契約を書面で締結する】
排出事業者は、委託基準を満たす業者と書面上で契約を行う必要があります。
法令で定められた事項が含まれた契約を実施せずに建築廃材の処理を委託すると、「懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」という重い罰則を受ける可能性があります。
契約書の様式は各自治体のホームページで確認できるため、それらを参考にしながら契約書を作成して委託を進めることが重要です。
【3:マニフェストを交付する】
マニフェストとは、処理を委託した産業廃棄物(建築廃材も含め)が、契約書の内容通り適切に処理されたかを確認するための伝票です。
委託先に産業廃棄物を引き渡すのと同時に交付し、産業廃棄物が最終処分場で処理されるまでの各プロセスを担当する業者が記載・切り取りを行い、最終的に排出事業者に戻ってきます。
排出したゴミがどの処分場で捨てられたのか確認できる内容となっており、マニフェストを交付した業者と受け取った処理業者は5年間保管することが義務となっています。
マニフェストの未発行や未保管は廃棄物処理法違反にもなるため、作成が容易な紙マニフェストと、システム上で情報を管理できる電子マニフェストから業者に適したものを選び、忘れず交付することが大切です。
排出事業者が持ち込みで処分する際の流れ
事業者であれば建築廃材を処分場に自ら持ち込んで捨てることが可能です。
ただし、持ち込みのうえで処分する場合は「産業廃棄物収集運搬車」として登録された専用の車が必要となります。
さらに、車体に許可番号の下6桁を記載して産業廃棄物運搬のための車だと示すと同時に、事業者情報や運搬する廃棄物の詳細を記載した書類の形態が求められます。
業者委託時と同様に委託契約の締結やマニフェストの交付も必要です。
建築廃材を不法投棄すると?
建築廃材を山中や空き地などに捨てることは不法投棄となり、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)またはその両方が科せられます。
また、処分委託した業者が不法投棄をした場合でも、排出事業者が注意義務を怠ったとして措置命令を下される可能性もあります。
国土交通省「平生30年度建設副産物実態調査結果(確定値)」によると、不法投棄されたゴミの半分以上は建築廃材が占めています。
そのため、あまりにも安い業者などに処分委託すると、意図せずに不法投棄に加担する可能性は十分考えられるでしょう。
措置命令を下されると不法投棄された廃材の除去費用を請求されたり、行政指導を受けたりする恐れもあるため、業者選定のタイミングから不法投棄を防ぐ意識を持つことが求められます。
▼法人で排出されたゴミの回収はエコキャットにご相談ください!▼
【許可取得済み】エコキャットでは建材・建築廃材の回収が可能!
建築廃材の運搬や処分にお困りなら、産業廃棄物収集運搬業許可を取得している「エコキャット」にご相談ください。
エコキャットなら、産業廃棄物はもちろんのこと、事業ゴミもまとめてパック料金で収集・運搬できます(※ゴミの種類によっては別料金となります)。
出張見積もりによる料金提示後でもご検討いただけるので、お気軽にご相談ください。