リチウムイオン電池の安全な捨て方は?捨て方を守る理由や事故事例を紹介
リチウムイオン電池の捨て方を紹介します。
スマートフォンや電子タバコなど、さまざまなアイテムに利用される電池ですが、捨て方を誤ると火災事故の原因となる可能性があります。
ちょっとした衝撃が加わるだけで発火する恐れのあるリチウムイオン電池は、実際にゴミ処理施設やゴミ収集車の火災事故原因にもなっています。
この記事ではリチウムイオン電池を安全に捨てる方法を解説するので、事故を防ぐためのご参考にしてください。
目次
リチウムイオン電池の捨て方に注意すべき理由
リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで充電や放電が行われる二次電池(※1)を「リチウムイオン電池」と呼びます。
充電すれば繰り返し使えるのがリチウムイオン電池の特徴で、スマートフォンやゲーム機器、電子タバコ、電子回路、イヤホン、充電式カイロなど充電式の家電に多く利用されるアイテムです。
非常に便利で生活を豊かにするアイテムですが、実はさまざまな要因が重なると発熱や発火、破裂につながる恐れがあります。
特に、過充電を行ったり、圧力をかけたりする行為はリチウムイオン電池内部の温度を上昇させ、熱暴走を起こしかねません。
このようなトラブルを防ぐために重要なのが、「捨て方」を間違えないことです。
リチウムイオン電池を通常の燃えるゴミや不燃ゴミなどに捨てると、他のゴミと紛れたり、ゴミ収集車やゴミ処理場の中で圧力がかかったり熱を持ったりすることで発火する可能性があります。
日常で利用しているアイテムだからこそ、捨て方に注意しないと誰でも発火事故の原因を作ってしまうのです。
収集作業員や処理施設スタッフの命を守るためにも、寿命を迎えたリチウムイオン電池をを捨てる時は、自治体指定の捨て方を遵守しなければなりません。
※1:二次電池:充電して繰り返し使える電池。使い捨ての電池は一次電池という。
一部のリチウムイオン電池はリサイクルが義務付けられている
一部のリチウムイオン電池を含む「小型二次電池」は、資源有効利用促進法によってリサイクルが義務付けられています。
寿命を迎えたリチウムイオン電池からは希少性の高いレアメタルなどが取り出され、新たに別の物に生まれ変わるのです。
「青色のリサイクルマーク」が付いたリチウムイオン電池はリサイクルの対象となるため、「充電式電池リサイクルBOX缶」を利用して捨てるようにしましょう。
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リチウムイオン電池の安全な捨て方を解説
不意に圧力がかかるだけでも発熱や発火の恐れがあるリチウムイオン電池は、正しい捨て方を守ることが重要です。
リチウムイオン電池の基本的な捨て方は以下の2つです。
- 自治体ごとのルールに則って捨てる
- 「充電式電池リサイクルBOX缶」に投入する
自治体名 | リチウムイオン電池の捨て方 |
東京都中央区 | 「電池類」の一種として、毎週土曜日に小学校もしくは銀座中学校・日本橋中学校で回収 |
東京都立川市 | 有害ごみとして出す |
千葉県千葉市 | 「中央美浜環境事業所」や「新浜リサイクルセンター」など、計4ヵ所の清掃施設での回収 |
埼玉県さいたま市 | リチウムイオン電池単独で処分する場合や、充電式の機器から電池の取り外しができる場合は、テープで絶縁して区役所や公共施設に設置されている電池回収ボックス(白色)に入れる |
逆に、神奈川県横浜市や川崎市のように、自治体でリチウムイオン電池の回収を実施していない場合は「充電式電池リサイクルBOX缶」などを利用しなければなりません。
このBOXは「一般社団法人JBRC」が全国2万以上の協力店に設置しており、リチウムイオン電池を含めて3種の小型充電式電池の回収を行っています。
家電量販店や自治体施設などに設置された誰でも利用できるBOXなので、リチウムイオン電池を捨てる際に非常に役立ちます。
リチウムイオン電池を含む小型家電の捨て方
携帯電話や音楽プレーヤー、携帯ゲーム機や電子辞書など、多くの小型家電にはリチウムイオン電池が含まれています。
このような家電を捨てる場合は、基本的に内部のリチウムイオン電池を取り出して自治体指定の場所や、家電量販店に設置された「小型家電回収ボックス」に投入してください。
ここでは、一部自治体の対応を例に挙げておきます。
自治体 | リチウムイオン電池の取り外し | 処分場所 |
東京都港区 | 必要 | 区有の施設14ヵ所に設置した回収ボックスに入れる |
東京都新宿区 | 取り外し可能な場合は必要 | ・家電量販店等にある使用済み小型電子機器等専用回収ボックスに入れる |
東京都八王子市 | 必要 | 黄色い指定袋に入れて収集日に出す(他の不燃物も入れて良い) |
取り外し不可の場合 | 「有害ごみ」で収集 | |
千葉県千葉市 | 取り外し可能な場合は必要 | 区役所・市民センターなどの公共施設にあるボックスに入れる |
埼玉県さいたま市 | 充電式の機器から電池の取り外しができない場合 | 小型家電回収ボックス(黄色)に入れる |
リサイクルマークがないリチウムイオン電池の捨て方
一部のリチウムイオン電池にはリサイクルマークが付いていない物が存在します。
リサイクルマークがない物は、一般社団法人JBRCに加盟している回収協力店にも受取を拒否される可能性があり、処分に大変手間がかかるでしょう。
例えば新宿区では、膨張・破損・変形している際や、家電量販店等に拒否された際は連絡の上、新宿清掃事務所・各清掃センターに持ち込みするルールです。
リサイクルマークがなくても市の電池回収ボックスに投入して捨てられる埼玉県さいたま市や、「小型充電式電池類」として週1回処分できる千葉県市川市のような自治体も存在します。
正しく安全に捨てるには、自治体サイトを確認するか、自治体に直接問い合わせることが必要です
しかし、充電式のアイテムの増加に伴い、リチウムイオン電池の処分方法を明確化できていない自治体も少なくなく、全国的な課題となっているのが現状です。
リサイクルマークがないリチウムイオン電池を捨てる際は、独断ではなく必ず自治体の指示に従って安全に手放してください。
また、膨張しているリチウムイオン電池についても、新宿区のようにルール化されている自治体は少ないのが現状です。
扱いが難しいため、必ず自治体に捨て方の指示を仰ぐか、不用品回収業者に依頼するのが賢明です。
▼リチウムイオン電池は不用品回収業者でも安全に回収可能!おすすめ業者は以下記事から!▼
家電本体にリサイクルマークがあるが、リチウムイオン電池自体にリサイクルマークがない場合
古いスマートフォンの中には、リチウムイオン電池自体にはリサイクルマークがなく、スマホ本体にリチウムイオン電池のリサイクルマークが印刷されている場合があります。
この場合はリチウムイオン電池のリサイクルが可能なものの、自治体のボックスなどに入れてしまうと係員の手間を要してしまいます。
もしくは危険物とみなされることもあるでしょう。
そのため、こうした充電式家電を捨てたい場合は、必ず家電量販店の店員に声をかけるか、スマホの場合はモバイルショップに直接持ち込んでください。または、不用品回収業者なら、スタッフが取りにお伺いしますので、簡単に捨てることができます。
リチウムイオン電池の深刻な廃棄問題が起こした事故とは
リチウムイオン電池の不適切な方法での廃棄が、清掃工場やゴミ収集車の火災原因になる事例が多発しています。
火災後の施設復旧に時間を要することで市民にとっても不便な状況が続くだけではなく、作業員の負傷や死亡など、深刻な事態をも招く恐れもあります。
ここでは、実際にあったリチウムイオン電池が原因の火災発生事例を紹介するのでご覧ください。
横浜市の事例
横浜市では、「デジタルカメラ」や「加熱式たばこ」「コードレス掃除機」などに内蔵されたリチウムイオン電池が原因でリサイクル工場の建屋や設備が焼けてしまう事例が発生しました。
壁はすすだらけとなり、天井も骨組みが完全に見える状態になるなど、悲惨な燃え方となっています。
東京都の事例
東京都のゴミ収集車では、燃えるゴミと一緒に捨てられたモバイルバッテリーが原因で収集車火災が発生しています。
また、ゴミ処理施設の作業場では不燃ゴミとして捨てられたリチウムイオン電池によって出火事故も起こっています。
東京消防庁の発表によると、平成28年から令和2年までの5年間でリチウムイオン電池が原因の火災が399件発生し、そのうち56件はゴミとして捨てられたリチウムイオン電池が原因とのことです。
山手線での事例
JR池袋駅に停車していた山手線車内で、乗客が持っていたリチウムイオン電池が原因の火災事故が発生しています。
カバンに入れていたリチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーが原因になったと見られており、火はすぐに消し止められたものの、他の乗客は避難する騒ぎとなりました。
この事例から、リチウムイオン電池は捨て方だけではなく、普段の取り扱い方にも注意すべきだとわかります。
東京都の「リチウムイオン電池 混ぜて捨てちゃダメ!」プロジェクトとは?
このプロジェクトは、身近にあるリチウムイオン電池の正しい捨て方を広く周知するために東京都が自治体や関連団体と協力して始めたものです。
プロジェクトサイトからは、リチウムイオン電池の捨て方に関して注意喚起できるポスターをダウンロードでき、企業オフィスや現場でも利用可能です。
リチウムイオン電池を家庭ゴミと一緒に捨てることで起きる火災事故を防ぐには、周知を続けて一人ひとりの意識を高めることが効果的です。
ポスターの掲載によって当プロジェクトを拡散することが、誰かの命を救うかもしれません。
リチウムイオン電池を捨てる時の注意点
リチウムイオン電池は、捨てるまでの過程でも注意すべき部分が多く存在します。
事故や怪我を防ぐためにも、以下の3つを守って処分を進めてください。
絶縁して捨てる
リチウムイオン電池を捨てる時は、出力端子の部分を絶縁しましょう。
完全に絶縁されていないリチウムイオン電池が他の電池と触れると発火する恐れがあります。
ビニールテープなどを巻き付けてから、回収ボックスなどに投入してください。
濡らさないようにする
リチウムイオン電池を濡らすと、ショートによる発火や発熱に加え、液漏れする恐れがあります。
リチウムイオン電池内部に含まれる「電解液」は、触れると化学やけどを引き起こす危険な物質です。
防水仕様のない電池は特に水と接触しないよう保管し、回収ボックスに投入するまで注意して取り扱ってください。
無理やり外さない
小型家電によっては、リチウムイオン電池が外れない仕様になっている場合もあります。
怪我や発火の可能性が高まるため、このような家電から無理やり電池を外してはいけません。
電池を外せない小型家電は、自治体が指定しているルールに則った捨て方で手放すようにしましょう。
リチウムイオン電池の捨て方にお悩みなら「エコキャット」にご相談を
「エコキャット」では、捨て方が難しいリチウムイオン電池、もしくはリチウムイオン電池を含んだ小型家電の回収に対応しています。
取り扱いが難しく、火災などにつながるリスクのある物ですが、エコキャットならプロのスタッフが安全かつ迅速に回収可能です。
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の関東4都県からのご依頼なら、最短25分で現場に伺います。
お客様の要望に合わせて柔軟な回収プランを提供しているので、リチウムイオン電池を含め、さまざまなゴミや不用品の捨て方にお悩みの方はご相談ください。
掃除機からリチウムイオン電池の取り外し方がわからない場合なども、まとめて回収が可能です。
さらに、リチウムイオン電池にもいろいろな種類があるため、どうすれば良いかわからなくても、すべてスタッフが回収しますので、安全に捨てることができます。
ご相談・出張見積もり・見積もり後のキャンセルは無料です。ぜひご検討ください。